世界遺産 五箇山菅沼合掌造り集落

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茅場再生の取り組み

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本物の世界遺産を次世代に引き継ぐkayaba002

 

 菅沼集落は、平成7年に相倉と荻町とともに世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として登録されました。この世界遺産は、単に合掌集落の景観の美しさだけでなく、田畑や雪持林(ゆきもちりん)と呼ばれる防雪林、合掌の材料となる森や茅場といった山村集落を取り巻く環境の素晴らしさが評価されています。しかしながら、菅沼集落は現在5世帯27名と小規模であり、住民だけの力では世界遺産を維持することが困難になりつつあります。この課題を解決するために原材料の森となる「合掌の森(茅場)」再生の取り組みを行っています。

 

 

 

『合掌の森』を再生する

kayaba021 五箇山では、古くから各戸において合掌造りの屋根材となる茅(コガヤ)の採取場(茅場)を所有し、毎年良質な茅を確保するため、下草刈りなどの手入れを行って、大切に維持管理されてきました。昭和40年代に入り、戸数の減少や高齢化、生活様式の変化により、茅場の手入れ等の管理が徐々に行われなくなり、現在は、多くの茅場の維持管理は富山県西部森林組合に委託する状況になっています。また、放棄された茅場も増加し、現在の茅の自給率は40%程度に低下しています。(菅沼集落の茅自給率は約50%)五箇山全体で現存する合掌家屋は約100棟あり、年間に必要な茅は約3万束と言われています。

kayaba001 不足分の茅は県外からオガヤ(ススキ)を代用品として購入しており、より本物の世界遺産(真正性)を次世代に引き継ぐためにも、合掌の材料となる茅の自給率向上が叫ばれるようになりました。

 このような背景のもと、菅沼集落では、住民による保存組織「越中五箇山菅沼集落保存顕彰会」が中心となって「合掌の森」再生に向けての取り組みを始めした。まずは住民みんなで古老からの茅場管理の方法を学ぶ勉強会を開催したり、他集落の茅場等の視察などを実施しました。また、実作業には、(社)日本茅葺き文化協会をはじめ、他地域から多くの団体や企業が協力していただけるようになり、世界遺産保全のための新たな合力(コウリャク)が出来始めようとしています。

 

 

 

 

 

新たなコーリャクの形を求めて

 

都市住民との連携

 (社)日本茅葺き文化協会の協力のもと、菅沼集落において「茅刈り体験ワークショップ」を実施するようになりました。一泊二日で参加料1万円(交通費は自己負担)にもかかわらず、大変な茅刈り作業を手伝いに全国各地から多くの方々に参加いただきました。

 

 

学校との連携筑波大学のコーリャク隊との茅場下草刈り

 コーリャク隊と称して筑波大学の学生に茅場の下草刈りの協力をいただいております。これ以外にも五箇山の他集落で楮の下草刈りや棚田の草むしり作業等を手伝っていただくなどとても頼もしい助っ人です。夜には、住民との懇親会もあり、若者との楽しい交流の機会となっています。

また近年は富山県立大学、大東文化大学、富山大学、金沢大学などの学生にも参加いただき、交流の輪が広がっております。

 

 

 

企業・団体との連携NEXCO中日本とのCSR協定調印式(H24年9月)

 中日本高速道路(株)と越中五箇山菅沼集落保存顕彰会との間で地域の環境整備活動等を取り組む旨の協定を締結し、茅の再生・活用にかする取り組みを始めています。

 具体的には、茅場の下草刈り、茅刈りと茅葺き体験、茅株の採取と株植え作業や農作業など、年間で計4回、のべ100名程の社員さんに活動を実施していただきました。

 また、南砺ユネスコ協会さんにも毎年、下草刈りに参加いただいております。

 

 

 

『合掌の森』再生のながれ

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メディア紹介

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北日本新聞 朝刊より